『観仏三昧海経』(かんぶつざんまいかいきょう)は、10巻からなる経典で、主に仏教の観想実践に関する教えが語られています。サンスクリット語やチベット語の原文は現存せず、現在残っているのは仏駄跋陀羅(ぶっだばっだら)による漢訳版のみです。
この経典では、釈迦の物理的な存在(色身)の観想や、大いなる慈悲に満ちた仏の心を持つこと、釈迦の人生のさまざまな場面についての瞑想、仏像の観察、さらには過去七仏や十方の仏への念仏などが説かれています。
これらの観想実践を通じて、『観仏三昧海経』は、観仏三昧(仏を観る禅定)を達成し、釈迦や他の仏と直接的に交わる「見仏」の経験を実現しようとする教えを展開します。
また、この経典の背後には『般若経』や『華厳経』の思想、唯心の思想や如来蔵思想が見て取れます。これらの思想は、経験の主観性や仏性の普遍性など、仏教の重要な教義を形成しています。
『観経』との類似性については、観仏(仏を観想する実践)の教義についての共通点が指摘されています。これらの経典は、仏教徒が仏と直接的な結びつきを持つための観想的な実践に重点を置いています。