『優婆塞戒経』は、曇無讖によって翻訳された仏教の説法書で、『優婆塞戒本』や『善生経』とも称されます。この経典の内容は、在家である「善生長者」という名の優婆塞(仏教徒)に向け、日常生活の中で守るべき菩薩戒を教示したものです。
この経典の存在は、奈良時代後期に遡ることができます。具体的には、称徳天皇が768年(神護景雲2年)の6月2日に、亡き父、聖武天皇のために奉納した一切経の一部として書かれました。現在、この貴重な文化遺産は正倉院聖語蔵に所蔵されています。また、1992年に開催された正倉院展で一般に公開されました。