『大般若経』(だいはんにゃきょう)は、大乗仏教の初期の経典で、全600巻から成り立っています。サンスクリット名は『マハープラジュニャーパーラミター・スートラ』。この経典は、般若経典類、つまり空(くう)を説く教えを集大成したもので、16部に分かれています。唐の時代、玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)が660年から4年の歳月をかけて漢訳を行いました。この経典は日本にも広く伝えられ、多くの寺院で保存されています。サンスクリットの原典は現存していません。
この『大般若経』には、さまざまな般若経典が含まれており、中でも『大品般若経』、『小品般若経』、『文殊般若経』、『金剛般若経』などが知られています。また、この経典の要約とされる『般若心経』との関連も注目されていますが、定説は確立されていません。
日本では703年(大宝3年)に文武天皇の時代に『大般若経』の転読(経題や経の初中終の数行の略読を繰り返すこと)が行われ、その後も宗派を問わず勅命による転読が行われてきました。