『帝王世紀』は、西晋時代の著述家皇甫謐によって編纂された歴史書です。この書は、天地の開闢から魏の咸熙2年(265)までの272代、約276万745年にわたる歴史を、帝王を中心に記述しています。特に、三皇から漢・魏に至る帝王の事跡を詳細に記録しており、緯書の説を多用しているため、正史には見られない内容も含まれています。
元々は10巻から成る大作でしたが、時間とともに原本は散逸してしまい、現存していません。しかし、清の顧観光、宋翔鳳、銭保塘などの学者たちが、他の書籍からの引用を基に逸文を集めて再構築しました。また、現代には徐宗元による『帝王世紀輯存』というまとめ本も存在しています。
皇甫謐自身は、若い頃は放蕩の日々を過ごしていましたが、後に読書に熱中するようになり、多くの著作を手がけるようになりました。『帝王世紀』以外にも多数の著述がありましたが、大半は現在まで残っていません。