『正法眼蔵随聞記』(しょうぼうげんぞうずいもんき)は、鎌倉時代中期に成立した、曹洞宗開祖である禅僧・道元の教えを記録した仏書です。
この書は、道元の2歳年長の弟子で永平寺2世の孤雲懐奘(こうんえじょう)が、約20年間にわたって道元の随侍としてその講話や問答を克明に筆記したものです。成立は、道元が宋から帰朝し、京都市伏見区の山城深草の興聖寺に滞在していた1234〜38年の嘉禎年間で、懐奘の死後にその弟子たちによりまとめられました。
6巻からなるこの文献は、仮名書きで平易に書かれており、道元の思想や人物を深く理解する上での基本的な文献とされています。また、これには慶安刊本系、面山瑞方の校訂による明和刊本系、長円寺本系の3つの系統があり、内容や配列に若干の違いがあるものの、最近では長円寺本系がもっとも古形を伝えていると言われています。