『平妖伝』(へいようでん)は、中国明代の神怪小説で、馮夢龍の作とされる。本作は40回からなる長編の白話小説で、最も早い時期である宋代から、少なくとも元代にかけては講釈師の題材として人気がありました。
物語の舞台は北宋の慶暦年間、貝州(現在の河北省)で、王則に率いられた弥勒教徒の反乱が起きた時期です。この反乱は『宋史』にも記録されており、実際の史実に基づいています。しかし、『平妖伝』の物語自体はフィクションであり、実話をもとにしたものではありません。
明代の羅貫中が20回から成る『三遂平妖伝』を編纂したと伝えられていますが、真偽の程は不明です。この20回本の物語は筋立てや結末が不完全であり、多くの問題点や不明瞭な部分が指摘されています。馮夢龍はその後、この作品を手がけ、物語の筋を整えたり妖術的要素を追加するなどして、四十回本『三遂北宋平妖伝』として再編しました。現在の通行本として知られるのはこの版です。
日本でも『平妖伝』は非常に人気があり、江戸時代の好事家たちに愛好されました。特に滝沢馬琴はこの作品を深く愛し、国字解を記しています。
簡単に言うと、『平妖伝』は北宋時代の貝州での王則の反乱を元にした神怪小説で、馮夢龍が20回本を基に40回の作品に再編したものです。日本でも非常に人気があり、滝沢馬琴などが愛読していました。