『説郛』(せっぷ)は、中国明初の叢書で、陶宗儀により編纂されました。もともと100巻から成るこの叢書は、さまざまな時代の書物を集めたもので、特に宋・元の著作が多く収録されています。巻数や収録内容は、版本によって異なります。
題名の『説郛』は揚雄『法言』の一節に由来しており、「郛」とは城壁を意味します。収録されている書物の内容は随筆、筆記、説話などの雑録が中心で、逸書も含まれています。
もともとは写本で伝えられ、明末まで印刷されることはありませんでした。しかし、民国時代に張宗祥が複数の写本を基に校勘を行い、1927年に上海商務印書館から活字で出版されました。この版は涵芬楼本とも呼ばれます。
明末の崇禎年間には、陶珽が別の版を出版しました。この版は『重較説郛』として知られ、元の100巻本にさらに多くの書物を加えたものですが、その校訂には精密さが欠けるとの意見もあります。
近年、上海古籍出版社から『説郛三種』という、張宗祥の本と陶珽の120巻本、および陶珽の『説郛続』を合わせた版も出版されました。