「過去現在因果経」は仏教の重要な経典で、4巻から成っています。劉宋時代の求那跋陀羅(ぐなばっだら)によって訳されたこの経典は、釈尊が過去世で普光如来の下で出家し、修行した結果、現在世で成道に至ったという仏の伝説を説く形式で書かれています。
この経典は、文章が流麗で、大乗仏教の思想が随所に見られるという特徴を持っています。この「過去現在因果経」からは、経因果経と呼ばれる形式や、上部に仏伝の図像を配し、下部に経文を記すという絵巻形式の絵因果経が作られました。これらは仏教教義の視覚的表現として、広く用いられています。