出典:wiki(敦煌で発見された金剛般若経、咸通9年(868年)刊刻。)
金剛般若経(正式名称:金剛般若波羅蜜経)は、大乗仏教の般若経典の一つであり、しばしば金剛経と略して呼ばれます。この経典は比較的短編であり、その長さから「三百頌般若経」などとも称されます。
金剛般若経は、「空」の思想を説いているにもかかわらず、「空」の語彙が一度も使用されていないという特徴を持ちます。
この経典の冒頭では、「このように私は聞いた。ある時ブッダは舎衛国の祇園精舎に1250人の修行僧たちとともにおられた。」と述べられています。
しかし、通常の経典ではこのあと主な参加者の名前が列挙されるのに対し、金剛般若経では突然本編が始まります。このような特徴は、原始的な経典の特性と見なされています。
金剛般若経は、その内容が凝縮されており、また比較的短いため、インド、中央アジア、東アジア、チベットといった地域に広く普及し、注釈書も数多く作成されています。
チベットやモンゴルでは、この経典を「紺紙金泥」で写経する風習が現在まで続いています。
東アジアでは、禅宗の第六祖(南宗初祖)である慧能がこの経の一句で大悟したとされ、禅宗で特に愛読されています。
また、天台宗、三論宗、法相宗、真言宗といった宗派や、中国や日本などの地域においても、さらには儒家や道家に至るまで、多数の注釈や講義が成立し、その影響は各方面に及んでいます。