『明史』は、中国の歴史書で、明代の歴史を網羅するものとして清代に編纂されました。正史「二十四史」の一つとして数えられ、明朝の成立から滅亡までの出来事を詳細に記述しています。
1645年(順治2年)に明史編纂のための機関として明史館が設置されました。しかし、実録の散逸やその他の史料不足から編纂業務は中断されることもありました。その後、1679年(康熙18年)に明史の編纂事業が再開され、康熙帝自らがその重要性を認識し、内容の正確性を重視するよう命じました。最終的に明史の全巻が完成したのは1735年、そして印刷されたのは1739年(乾隆4年)で、初めて明史館が設立されてから90年以上の歳月が費やされました。
本作は、本紀24巻、志75巻、表13巻、列伝220巻、目録4巻、合計336巻から成り立っており、二十四史の中で最も巻数が多いものとなっています。明史は、史料としての価値が非常に高く、当時の学者からも高い評価を受けていました。特に、康熙帝の強い意向の下で、正確性を最重視して編纂されたため、現在でもその資料的価値は非常に高く認識されています。