『西京雑記』(せいきょうざっき)は、中国の歴史的な逸話や故事を集めた書籍で、特に前漢時代の首都であった長安(現在の陝西省西安市)に関する内容が中心です。
この書は晋の葛洪(かっこう)によって編纂されたとされるが、原著者については前漢末の劉歆とも言われるなど、明確ではありません。現行本は6巻から成り立っており、跋文や『隋書』などの古文献にもその存在が記されています。しかし、その中での記述や編者に関する情報は一貫していないため、正確な著者や成立背景については諸説あります。
内容としては、長安に関する地理や風俗、制度などの情報が含まれており、特に未央宮、上林苑、昆明池などの場所に関する記録や、王昭君の有名な伝説などの逸話が収録されています。また、出土した文物との符合や実証がなされる事柄もあり、史料的な価値を持つ一方、正確でない記述も含まれているため、歴史書としての評価は賛否が分かれるところです。しかしながら、小説として見れば、短く簡潔な文章で興味深いエピソードが伝えられており、読者には魅力的に映ることでしょう。