『輟耕録』は、元末の随筆で、陶宗儀が著した30巻からなる作品です。正式には『南村輟耕録』と呼ばれ、元代のさまざまな事柄、特に政治、制度、風俗、文化などに関する詳細な記述が含まれています。この名前は、元末の戦乱を避けて隠棲生活を送った陶宗儀が、農耕を中断して(輟耕)文章を書き、壺に収めて木の根元に埋めたことに由来しています。
10年の間に記されたこれらのメモは、後に30巻の書物としてまとめられました。巻の中には蒙古や色目人に関する詳しい記述や、当時の通俗文学、戯曲、小説、書画などの内容も含まれており、元代社会の貴重な資料として知られています。