『柳毅伝』(りゅうきでん)は、中国中唐時代の伝奇小説で、作者は李朝威です。成立は8世紀末の貞元の頃とされています。
物語の内容として、官吏登用試験に落第した柳毅は、湘江のほとりで、夫や邪険な姑に虐待されている竜王の娘、竜女に出会います。柳毅は彼女の窮状の伝言を携えて、洞庭湖の竜宮に彼女の父、洞庭君を訪ねます。この事件に怒った洞庭君の弟、銭塘君は竜女を救い出し、柳毅と結婚させようとしますが、柳毅は固辞して竜宮を去ります。後に、柳毅は楊州で大商人となり、金陵(現在の南京)で盧氏と再婚しますが、実は彼女は竜女の化身でした。最終的に二人は洞庭湖に行き、神仙となります。
この物語は、後世に広く読まれ、元代の戯曲『柳毅伝書』や『張生煮海』など、多くの作品の題材として取り上げられました。現在も、洞庭の君山にはこの物語に関連する柳毅井という遺跡が残っています。