『貞観政要』(じょうがんせいよう)は、中国の唐代に呉兢によって編纂された太宗の言行録であり、太宗の在位の年号「貞観」を冠しています。
この書は全10巻40篇から成り立っており、その名の通り、太宗の政治の要点や考え方が詳しくまとめられています。
太宗の治世、特に貞観の治は平和で繁栄した時期として知られ、その中で太宗と彼を補佐した重臣たち(魏徴、房玄齢、杜如晦、王珪など)の間での政治的な問答が詳しく記されています。
太宗は英明な君主でありながらも、臣下の忠告や諫言を歓迎して受け入れる姿勢を持っていました。そのため、この書には太宗と臣下たちとの対話が多く記録されており、それを通じて理想的な治世の秘訣や政治の心得が語られています。
また、太宗は質素倹約を奨励し、国の財政を健全に保つことを重視しました。これにより、国民の生活も豊かになりました。
このような太宗の姿勢は儒教の精神からきており、太宗は天の意志を体して仁慈の心で民を愛育するべきだという儒教の理念を実践していました。
『貞観政要』の編纂は、太宗の死後40~50年後、中宗が復位した時期に行われました。初めは中宗のために呉兢が編纂し、その後玄宗の時代にさらに改編されて広く読まれるようになりました。
この書は中国で非常に評価が高く、後の歴代王朝の君主たちに愛読されました。そして、日本にも伝わり、平安時代から天皇や貴族たちに読まれ続けてきました。
まとめると、『貞観政要』は太宗の政治の理念や実践が詳しくまとめられた書であり、中国だけでなく日本にも大きな影響を与えた重要な文献となっています。