『抱朴子』(ほうぼくし)は、中国の晋代の道教の士・葛洪(かっこう)が著した著書であり、葛洪の号を書名としています。葛洪は役人の家系に生まれ、先代の道士である葛玄や鄭隠から学びました。また、「道教は本、儒教は末」という考えを持ち、二つの教えを併用する思想を持っていました。
『抱朴子』は、内篇と外篇から成り立っており、現行本は内篇20篇、外篇50篇、そして自叙2篇からなりますが、過去にはさらに多くの篇があったとされています。内篇では、仙人の存在、仙薬の製造方法、修道法や道教の教理などが詳述されており、道教の教義を組織化した内容となっています。一方、外篇は儒教の観点から世の中の事柄や人間関係について評論されています。
この著書は、仙人になるための方法や、道教と儒教の考え方の融合、さらには葛洪の人生や彼の思考についての洞察を知る上で非常に価値のある文献として受け継がれています。