『太平御覧』(たいへいぎょらん)は、中国宋代初期に編纂された百科事典のような類書です。北宋の李昉ら13人が太宗の勅命を受け、977年から983年にかけて編纂しました。総数は1000巻で、元々の名前は『太平総類』でしたが、太宗が毎晩3巻ずつ閲読し、1年で読了したことから『太平御覧』と改名されました。
この書は、天部、時序部、地部、皇王部など全55部から構成されています。これらの部はさらに、5426類目に細分化されており、各項目では多くの古典からの抜粋や情報が収録されています。引用された書籍は、巻頭の書目によると1690種にのぼります。これには重複も見られますが、詩や賦などを加えると2000種以上となります。なお、引用された書籍の中には、すでにその時点で原書が失われていたものもあり、前代の類書から間接的に引用されたものも含まれています。現在は多くの引用された書が亡失しており、『太平御覧』はこれらの資料として非常に価値が高いです。
この類書は、同時期に編纂された『太平広記』、『冊府元亀』、『文苑英華』とともに、四大書(宋四大書)と称されるものの一つです。日本にも影響を及ぼし、一部は静嘉堂文庫や金沢文庫に所蔵されています。