【四字熟語】
雅俗折衷
【読み方】
がぞくせっちゅう
【意味】
風雅なものと卑俗なものを交ぜ用いること。また、文語体と口語体を適宜交ぜた文。小説などで、地の文は上品で優美な雅文、文語体を用い、会話文は口語体を用いるいわゆる雅俗折衷文のこと。
【語源由来】
明治時代初・中期に発達して、先駆けとして井原西鶴などがあり、坪内逍遥などが提唱した。
【典拠・出典】
-
【類義語】
・雅俗混交(がぞくこんこう)
【英語訳】
blending of the classical and colloquial styles
雅俗折衷(がぞくせっちゅう)の使い方
健太くん。樋口一葉の傑作と言われている「たけくらべ」を読んだことがある?
雅俗折衷のああいう抒情的な樋口一葉の文章は、古典の一つの典型をなしていて美しいよね。
あらまあ。健太くんにも理解できるなんて、樋口一葉はさすがだわ。
日本人としては、読んでおいたほうが良い本の一つだからね。
雅俗折衷(がぞくせっちゅう)の例文
- 井原西鶴風の雅俗折衷の文体で、明治期の女性の立ち振る舞いや、それによる悲哀を描写している。
- 山田美妙や二葉亭四迷によって推し進められていた言文一致体の文章への違和感もあり、紅露の二人や樋口一葉などは西鶴調の雅俗折衷文体の小説を発表した。
- 言文一致の流れで日本語の口語体が完成しつつある時期であったが、鴎外の訳は、敢えて雅俗折衷の流麗な文語体で綴られており、また必ずしも直訳ではなかった。
- ストーリーと、会話を口語体にしながら、地の文は流麗な文語文という雅俗折衷の文体とが、当時の新しい文学のあらわれとして好評を博し、紅葉は一躍流行作家として世間に迎えられた。
- 水滸伝を翻案した作品は非常に多いが、「本朝水滸伝」は、水滸伝の翻案の最初のものであるとともに、その雅俗折衷の文体は馬琴らの読本の文体を誘発したので文学史的に重く評価されるべきだ。