【四字熟語】
阿吽二字
【読み方】
あうんにじ
阿吽は、仏教とともに日本に伝えられた梵字の「a(ア)」と「hum(フーン)」とを漢字で音写したもので、「阿」は口を開いて発音し、「吽」は口を閉じて発します。この阿吽が梵字(悉曇:しったん)の配列では、最初の字と最後の字とされています。
【意味】阿は最初の字音、吽は最後の字音。この二字で最初と最後を表すことから、最初と最後のこと。
相対するもの。
【語源・由来】
浄厳 (じょうごん) 著、『悉曇三密鈔(しったんさんみつしょう)』(江戸時代の仏典)のうち、「阿吽の二字、出入の息風」より
【典拠・出典】
-
【英語訳】
・A-hun
・Inspiration and expiration
・the beginning and end of things
・alpha and omega
阿吽二字(あうんにじ)の使い方
今はまだ家に帰んない方がいいよ。
どうして?
お父さんが結婚記念日のこと、忘れていたんだよ。だから、・・・・・・
阿吽二字で承知したわ! しばらくは荒れるものね。
阿吽二字(あうんにじ)の例文
- 多くを語らなかった友のその一言に、何があったのか、彼は阿吽二字のごとくすべてを理解した。
- 彼とは阿吽二字で互いを理解し合える仲だ。
- 曼荼羅の世界観とはまさに阿吽二字に尽きる。
- 私が何か言ったところで、誰が阿吽二字で応じてくれるだろうか。
まとめ
【阿吽二字】は歌舞伎十八番『勧進帳』で、
富樫:出る入る息は
弁慶:阿吽の二字
の名問答に登場します。意味は何でしょうか?
富樫:吐き出し、吸い込む、息は何であろうか。
弁慶:万物の発生と帰着をあらわす、阿吽の二字である。
―とてつもなく哲学的な、深い問答ですね。
「阿」は吐く息、「吽」は吸う息、これを併せて「阿吽の呼吸」と言いますが、それは暮らしの中で人々が共に何かを行うとき、語らずとも互いに図ることのできる絶妙なタイミングを表す四字熟語です。ことわざでいう所の「一を聞いて十を知る」は、意味が近い言葉とは言いながらも頭の賢さを伝える故事。【阿吽二字】の世界観は、例えば知識や認識、いわゆる頭の賢さに因らない、それを超えたところにある生理的なリズムや第六感など、まさに意識しないで行う呼吸そのものなのでしょう。