『碧巌録』(へきがんろく)は、中国宋代の禅文学の一つであり、臨済宗の語録として知られています。この書は、雪竇重顕(せっちょうじゅうけん)が『伝燈録』から100則の公案を選び、それぞれに偈頌を加えたものであり、さらに、臨済宗11世の圜悟克勤(えんごこくごん)が前文、垂示(簡単な説示)、評唱(禅的な批判鑑賞)、および著語(根源的な立場からの批評の語)をそれぞれの公案に付加したものです。完成されたのは1125年で、宗教書としてだけでなく、禅文学としての価値も高く評価されています。
『碧巌録』は、宗門の専門道場において修行者が自らの悟りを深めるための公案集として用いられ、伝統的に「宗門第一の書」として重んじられてきました。その影響は大きく、本書を模範として『従容録』や『無門関』のような公案集が後に作成されました。特に元代からは臨済宗での使用が増え、広く読まれるようになりました。