【四字熟語】
会稽之恥
【読み方】
かいけいのはじ
【意味】
敗戦の恥辱。他人から受けたひどいはずかしめ。
【語源由来】
「会稽)」は中国の山の名前で、春秋時代の呉と越の戦場跡のことです。
「会稽の恥を雪ぐ」は、他人から受けたひどい屈辱を回復することを言います。
【典拠・出典】
『史記』越
【類義語】
・臥薪嘗胆(がしんしょうたん)
【英語訳】
・retaliation
・revenge
・ignominy
・shame
・disgrace
会稽之恥(かいけいのはじ)の使い方
会稽之恥(かいけいのはじ)の例文
- あの試験に受からないかぎり、会稽之恥を雪ぐことにはならない。
- ここでこの試合に勝たなければ会稽の恥だ。
- 彼がそこに準優勝のたてを飾っているのは会稽之恥を忘れぬためだった。
まとめ
「会稽之恥」、戦のあとに他人からの忘れられぬほどの恥辱を受けるとはいったいどんなものだったのでしょうか。
「会稽の恥」の故事はそれは長い物語があります。中国の春秋時代後期、呉国と越国の長きにわたる復讐劇が由来となっています。
王闔閭(かいりょ)は呉を一代で強国へと成長させたものの、隣国の越王勾践(こうせん)に破れます。敗戦の屈辱は、闔閭の息子である夫差(ふさ)に受け継がれます。復讐を誓った夫差は常に薪の上に寝てその志を奮い立たせるのです。
復讐劇に燃えている夫差のうわさは図らずも勾践の耳にも届きます。勾践は先手必勝とばかり兵を挙げますが、三年もの間、日夜兵を鍛えて復讐に備えていた夫差率いる呉軍の前に惨敗し、会稽山に逃げ込みます。その場で勾践は降伏して夫差の元に下り、妻を妾として差し出すという屈辱にまみれたのです。
臣下に成り下がった勾践はひたすら呉で従順に過ごし、野良仕事をして生きながらえます。傍らに苦い肝を置き、それを嘗めながら「会稽の恥を決して忘れはしない」と屈辱をかみしめ続けます。
戦の恥は戦でしか雪ぐことができない――ひそかに戦略を練り、敗戦のときに受けた恥辱を忘れぬために、長い年月を過ごした両雄の姿から「臥薪嘗胆」という言葉も生まれるのです。
その後、勾践は努力を重ねて越の力を蓄え、とうとう呉をほろぼし真の覇者となります。「会稽之恥」と「臥薪嘗胆」の2つは転じて「目的を遂げるために苦心し、努力を重ねること」の意味となるのですね。