『景徳伝灯録』は、中国の北宋時代に道原が編纂した、禅宗の主要な歴史文献です。内容は、過去七仏から天台徳韶門下までの禅僧や僧侶の伝記を集めたもので、多数の禅僧の伝記が含まれているため、「1,700人の公案」と称されることがありますが、実際の伝記は965人分です。
この文献は、1004年に道原が朝廷に提出しました。その後、楊億らの校正を経て、1011年に公式に認められ、広く流布するようになりました。その名前は、提出された年の元号「景徳」から取られています。この文献の公刊を契機に、中国禅宗では歴史文献の編纂が盛んになり、これが後に公案の形式に発展しました。
『景徳伝灯録』は、禅宗研究の際の基本的な参照資料として、現在も非常に重視されています。ただし、内容の中には史実とは異なる部分もあるとされています。
また、撰者については興味深い逸話が存在しており、一説には、本来は拱辰がこの文献を編集していたが、途中で道原に持ち去られ、彼の名で提出されたという話があります。しかし、この話は後の仏教学者によって否定されています。