著書『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』を講談社より出版

煙霞痼疾【えんかのこしつ】の意味と使い方や例文(語源由来・出典・類義語・英語訳)

【四字熟語】
煙霞痼疾

「煙」は「烟」とも書く。

【読み方】
えんかのこしつ

【意味】
自然をめでる心がきわめて深いことを、長く治らない持病にたとえた語。
自然の風物をこよなく愛すること。また、隠居して自然と親しむことをいう。
「煙霞」はもやとかすみの意味。転じて、自然の風物。
「痼疾」は長く治らない病気。

【語源・由来】
「遊厳曰く、臣は泉石膏肓、煙霞痼疾、既に聖代に逢ひ、幸ひに逍遥を得たり、と。」

【典拠・出典】
新唐書』「田游巌伝」

【類義語】
・煙霞之癖(えんかのへき)
泉石膏肓(せんせきこうこう)

【英語訳】
・The heart which adores nature is extremely deep, and seems to be a long sickness.
・To love greatly nature.
・Retire and to be intimate with nature.

煙霞痼疾(えんかのこしつ)の使い方

ともこ
Aちゃんの油絵、見た?
健太
見たよ~。すごく上手だよな。どうしたら、あんなにきれいな色で風景を表現できるんだろう?
ともこ
Aちゃんは、自然の中で育って、自然の景色の雅やかさが大好きなんだって。口を開けば、森や竹林の美しさについて話しているわ。
健太
なるほど、煙霞痼疾から生み出された感性なんだな。

煙霞痼疾(えんかのこしつ)の例文

  1. 隣の家のおじいさんは小学生の頃から、裏山を探検したり、沼で釣りを楽しんだりしていたそうで、まだまだ煙霞痼疾をやめるつもりはないそうだ。
  2. ジャングルで育ったターザンにとって、煙霞痼疾は彼の心そのものであり、自然を失ってしまえば彼は彼でなくなってしまうだろう。
  3. 煙霞痼疾はいいが、道に迷ったり、事故に遭ったりしないかが心配なのだ。
  4. 古くから山水膏肓、煙霞痼疾という言葉があるくらい、東洋人は自然を愛して親しんできた。
  5. 履歴書を書く時、煙霞痼疾を趣味の欄に書くべきか持病の欄に書くべきか迷った。

まとめ

美しい自然は我々を魅了する。見る度に姿を変えるので、自然に親しむ心が飽きることはない。
また、知れば知るほど奥が深い。煙霞のようにつかみどころがないのが自然である。
つかめないからこそ、美しく見え、人の心をとらえて離さないのかも知れない。

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北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)

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