著書『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』を講談社より出版

冠前絶後【かんぜんぜつご】の意味と使い方や例文(故事・出典・類義語・英語訳)

【四字熟語】
冠前絶後

【読み方】
かんぜんぜつご

【意味】
ずばぬけてすぐれている形容。また、非常に珍しいことの形容。今までで最高であって、これからもないであろうという意から。「冠」はかんむりで、人の一番上につけることから、最高にすぐれている意。略して「冠絶」ともいう。

【故事】
中国宋の徽宗が、東晋の顧愷之の絵を、彼以前で最高であり、梁の張僧繇の絵を、彼以後には比べられるものがないと言い、唐の呉道子は、これらを兼ね備えたほど偉大な画人であると評した故事から。

【典拠・出典】
宣和画譜』「二」

【類義語】
空前絶後(くうぜんぜつご)
・曠前絶後(こうぜんぜつご)
前代未聞(ぜんだいみもん)
・先代未聞(せんだいみもん)

【英語訳】
・It is the best, and will not be in the future.
・Excellent and very rare.

冠前絶後(かんぜんぜつご)の使い方

ともこ
健太さん、眠そうね。
健太
ああ、昨夜から徹夜でプログラムを組んでいたんだ。
ともこ
へ~! どんなプログラムなの?
健太
それは、まだ言えないよ。冠前絶後の特別なシステムとだけ言っておこうかな・・・。

冠前絶後(かんぜんぜつご)の例文

  1. 冠前絶後の逸材があらわれた。
  2. 彼の才能は冠前絶後だと世界中の誰もが認めている。
  3. 冠前絶後とよく言うが、それまでで最もすぐれているといういうのは分かる。しかし、今後もないかどうかはまだ分からないじゃないか。
  4. スペリオル湖の湖岸にある洞窟では、無数の氷柱(つらら)がぶら下がり、気温の変化によってその形を変える冠前絶後の美しい風景が見られます。

まとめ

類義語にある「空前絶後」との違いは「冠」という文字にある。
冠は「王冠」という言葉にもちいられるように、最もすぐれている者がつけるもので、身分や状況を周囲に知らしめる。
よって、「空前絶後」はそれまでに例がなく今後も例がないだろうという場合に使うが、冠前絶後は今までで最もすぐれていて今後もないだろうという意味合いで使うのだ。

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北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)

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