呉越同舟の意味(故事・出典・類義語・英語訳)
【四字熟語】
呉越同舟
【読み方】
ごえつどうしゅう
【意味】
敵同士が、同じ場所に居合わせたり。協力したりすること。
そして、普段は反目しながらも、厳しい状況を乗り切るためには、一時的にでも協力し合うねんな。
これは、「仲が悪いけど、困難を乗り越えるために協力する大切さ」を教えてくれる言葉やで。
【典拠・出典】
『孫子』「九地」
【類義語】
・楚越同州(そえつどうしゅう)
・同舟共済(どうしゅうきょうさい)
・共同戦線(きょうどうせんせん)
・大同団結(だいどうだんけつ)
【英語訳】
bitter enemies in the same boat、Friend and foe in the same boat
The opposing teams shared the same hotel.
呉越同舟(ごえつどうしゅう)の故事
中国春秋時代(約2500年前)、呉の国と越の国は長年にわたり戦い続けた宿敵同士でした。
もし、この二つの国の人々が同じ舟に乗り合わせたら、どうなるでしょうか?
すぐに刀を抜いて戦い始めるでしょうか?
いいえ、そうはなりません。舟の上には他の乗客もおり、舟を揺らさないよう静かにしなければなりません。
それどころか、ひどい嵐に巻き込まれ、水が船内に流れ込んでくるような危機的状況では、敵味方の区別を忘れ、力を合わせて水をかき出し、舟が転覆しないよう助け合うに違いありません。生き延びるためには、互いに協力するしかないのです。
このように、本来敵同士であっても、時と場合によっては力を合わせなければならない状況があります。これが「呉越同舟」という言葉の由来です。孫子も「戦いに勝つためには、兵士たちが一致団結することが大切だ」と説きました。
これはまさに「呉越同舟」の精神を表しています。もともとの意味は「仲の悪い者同士が同じ場所にいる」という単なる状況の説明ではなく、「共通の危機に直面したとき、敵同士でも協力し合う必要がある」という教訓を含んでいたのです。
現代においても、この考え方はさまざまな場面で生かされます。たとえば、国が危機に瀕したときには、対立していた政治家同士が手を取り合って国を救おうとします。
また、会社が倒産の危機に陥ったとき、普段は反目し合っていた社員たちが一致団結し、会社の再建に尽力することもあります。「呉越同舟」は、敵味方を超えて協力することの大切さを教えてくれる言葉なのです。
呉越同舟(ごえつどうしゅう)の使い方
呉越同舟(ごえつどうしゅう)の例文
- 与党と野党は国家を脅かす脅威について呉越同舟しなければならない。
- 彼と彼のライバルが同じバスに乗っているなんて呉越同舟だな。
- 仲の悪い国の大統領同士がゴルフをしてるのは呉越同舟であるといえる。
- 選挙のために異なっている政策を掲げている両党は呉越同舟した。
- あの仲の悪い2人が呉越同舟をして挑んでいるのをみて感極まった。
- お互いの悪口を言っていたバンドが同じ野外フェスに出るのは呉越同舟です。
- 苦手な人と呉越同舟で同じプロジェクトに参加したが、意外にいい人かもしれない。
呉越同舟の文学作品などの用例
- 酒場では呉越同舟でありたい。仲のいい客同士ならなおいい。<山口瞳・諸君!この人生、大変なんだ>
また、普段は仲が悪いけれど、困難な状況を乗り越えるためには一時的に協力し合う、という意味も含まれているんだ。