『蒙求』(もうぎゅう)は、中国の唐時代に李瀚(りかん)によって編纂された児童向けの教科書です。この書名は『易経』の蒙卦の「童蒙の我に求む」から取られており、内容としては上代から南北朝時代までの有名な古人の逸話を、四字の韻文で短くまとめたものが収録されています。全文は596句から成り、特定の韻を持つ偶数句で押韻しています。
宋代には代表的な教科書として用いられ、さらに類似の書籍も作られましたが、明末期になると他の教科書に取って代わられ、徐々に忘れられていきました。
日本には平安時代に伝わり、広く学ばれるようになりました。日本の「蛍の光、窓の雪」などの故事は『蒙求』から取られたものであり、「勧学院の雀は蒙求を囀る」ということわざが生まれるほどの影響を持ちました。