【四字熟語】
飲河満腹
「偃鼠(えんそ)河に飲むも満腹に過ぎず」を略した言葉です。
【読み方】
いんかまんぷく
【意味】
人にはそれぞれ分(ぶん)があり、分相応(ぶんそうおう)に満足すべきであるということ。
【語源・由来】
中国古代の伝説の聖天子尭(ぎょう)帝が、賢者・許由(きょゆう)に天下を譲ろうとしたところ、「偃鼠河に飲むも満腹に過ぎず」と言って丁重に断ったという故事に由来します。
【典拠・出典】
『荘子』「逍遥遊」
【類義語】
・飲河之願(いんがのねがい)
・偃鼠飲河(えんそいんが)
・巣林一枝(そうりんいっし)
・安分守己(あんぶんしゅき)
・知足安分(ちそくあんぶん)
【英語訳】
・know one’s place and do one’s duty
・be contented with one’s lot
飲河満腹(いんかまんぷく)の使い方
これほどうれしいことはないよ。
どうしたの?
学級委員長に推薦されたんだけど、丁重にお断りしたんだ。だって僕以外に委員長にふさわしい人は他にいるからね。
飲河満腹としたわけね。確かに今の生物係こそ、あなた以外に適任者は見当たらないわ。
飲河満腹(いんかまんぷく)の例文
- 先方には飲河満腹との旨を伝え、その申し入れを丁重に断った。
- 君には飲河満腹という考えがないのか! それほどまで名誉欲にまみれた人物だったとは!
- 彼はそれを飲河満腹として丁重に辞退した。
- 彼はそれを飲河満腹とばかりあっさり辞退すると、今以上に多くを望むことは決してなかった。
まとめ
中国古代の伝説の聖天子尭(ぎょう)帝が、賢者・許由(きょゆう)に天下を譲ろうとしたところ、「偃鼠河に飲むも満腹に過ぎず」と言って丁重に断ったという故事に由来します。自分を偃鼠(動物のもぐら、あるいはドブネズミのこと)にたとえ、「もぐら(ドブネズミ)は大きな黄河の水を飲んでも、満腹になればそれ以上は飲まないでしょう。ですから帝が納めて天下が平らかなら、どうして私が必要でしょうか? きっと地位や名誉にすがったと思うでしょう。そんな風に思われたくないのです」。このように断られたら、気を悪くする人はいないでしょうね。
そこにはへりくだって自分を偃鼠にたとえながらも、地位に恋々とすることなどない、誇り高い賢者としての姿があります。
分相応をわきまえ、かつ自尊心を誇り高く掲げ生きていくことのできる人はそうそういるものではありません。そうありたいものです。