【四字熟語】
人面獣心
【読み方】
じんめんじゅうしん
「人面」は「にんめん」とも読む。
同じ読みで「人面獣身」という言葉があるが、妖怪や怪物を示す意味なので混同しないように注意しましょう。
【意味】
冷酷で、恩義や人情をわきまえず、恥を知らない人のこと。
人の顔をしていながら、心は獣のような人間ということから、破廉恥で無慈悲、残虐な人間に対して用いる。
「人面獣心の残忍な奴(やつ)」などと表現する。
【語源・由来】
「人面」は人間の顔。また、それに似た形の意味。
「獣心」は道理をわきまえない、残忍なけだもののような心。
「獣」の旧字体は「獸」
【典拠・出典】
『史記』「匈奴伝・賛」
【類義語】
・虎吻鴟目(こふんしもく)
・人頭畜鳴(じんとうちくめい)
【対義語】
・鬼面仏心(きめんぶっしん)
【英語訳】
・a brute with a human face
・a beast with a human face
・The face is human but the heart is ruthless like the brute.
人面獣心(じんめんじゅうしん)の使い方

営業部長が入院してからずいぶん経つわね。

うん。この間お見舞いに行ってきたところだよ。

お見舞いと言えば・・・Cさんは、あんなに部長に目をかけてもらっていたのに、昇進に関係ないからお見舞いには行かない、なんて言ってるのよ。

ひどい奴だな。恩義を感じない冷酷な人面獣心だよ。
人面獣心(じんめんじゅうしん)の例文
- 無差別テロは多くの人の人命を奪うという残虐非道なものです。犯人は人面獣心の人間なのでしょう。早く逮捕してほしいものです。
- 新皇帝は人面獣心の情け知らずだ。この国の行く末が懸念される。
- 自分をずっと擁護してきた人を裏切るとは、人面獣心の行為だ。
<地獄変/芥川竜之介>より
中にはあの男を罵(ののし)って、画のためには親子の情愛も忘れてしまう、
人面獣心の曲者(くせもの)だなどと申すものもございました。
中にはあの男を罵(ののし)って、画のためには親子の情愛も忘れてしまう、
人面獣心の曲者(くせもの)だなどと申すものもございました。
まとめ
「美女と野獣」という有名な物語はご存知だろう。
このお話に出てくる野獣は、見た目は獣だが心には人の気持ちがある。
表面ではなく、本質を見ようとした時に呪いが解ける。
人面獣心という四字熟語は獣の本質を人の仮面でつくろった様子をあらわした四字熟語である。
表面でなく本質を悟られた時、その獣の姿が露見するのだ。