『新唐書』は、中国の歴史書「二十四史」の一部として知られる唐代の正史です。以下に、その概要と特徴をまとめます。
- 概要:
- 『新唐書』は、北宋時代の1060年に成立しました。この書は、欧陽脩、宗祁らが撰述し、宋の仁宗の命によって、『旧唐書』を改訂・増補したものです。
- 構成としては、本紀10巻、志50巻、表15巻、列伝150巻の全225巻から成り立っています。
- 編纂の経緯:
- 『旧唐書』は唐末五代の戦乱の影響で、史料不足や欠落が見られました。これを補完する形で、新たな史料をもとに『新唐書』が編纂されました。
- この書の編纂には、多くの当時を代表する学者が関与しています。特に、欧陽脩が編纂した部分は、その簡潔な文体で知られています。
- 評価:
- 『新唐書』は、簡潔な文体での叙述や「春秋の筆法」と呼ばれる主観的な叙述を用いたことから、客観性を欠くとの指摘がある一方で、天文学史の分野では当時の天文現象を記述した貴重な資料として評価されています。
- 一部の俗説を取り入れた記述や、史料の価値において『旧唐書』に及ばないとの評価も存在します。特に、清朝の学者たちからは批判的な意見が多く寄せられています。
- 日本についての記述:
- 『新唐書』には、日本に関する記述も含まれており、「咸亨元年」すなわち670年に「倭」から「日本」と名称を変えたとの記録があります。また、隋の時代に天皇家と中国が初めて通交したことや、神武天皇に関する情報なども記載されています。
以上、『新唐書』は、宋代の学者たちにより編纂された、唐代の正史であり、既存の『旧唐書』を改訂・増補したものであることがわかります。