『淮南子』は、前漢の武帝の時代に淮南王であった劉安が著述させた哲学的な書物です。劉安は学者たちを集めてこの著作を編纂しました。この書は日本には非常に早い時期に伝わり、漢音では「わいなんし」ですが、呉音の「えなんじ」として一般的に読まれています。『淮南鴻烈』とも称されます。
『淮南子』は10部で構成され、全21篇からなります。『漢書』芸文志によると「内二十一篇、外三十三篇」からなると記されていますが、現代に伝わっているのは「内二十一篇」のみです。内容は道家思想を中心に据えつつ、儒家・法家・陰陽家の思想も組み込まれており、雑家の書籍として分類されています。
また、注釈としては、後漢時代の高誘による『淮南鴻烈解』と許慎による『淮南鴻烈間詁』が存在します。これらの注釈は『淮南子』の解釈を深めるために重要な文献となっています。
『淮南子』は、中国の古代思想の多様性を示すための重要な資料であり、中国の哲学・倫理・宇宙観の理解に役立つ一冊です。