『晋書』(しんじょ)は、中国晋朝(西晋・東晋)の歴史を記述した正史で、二十四史の一つです。唐の太宗により、房玄齢・李延寿らが編纂を開始し、648年に完成しました。本書は、帝紀10巻、志20巻、列伝70巻のほか、五胡十六国の歴史を記述した載記30巻で構成されています。
太宗李世民は、自らも「王羲之伝」を執筆するなど、『晋書』編纂に関与しました。この書の編纂は、国家事業として行われ、太宗の欽定史書としての位置づけを受けました。このような国家主導の史書編纂は、以後の正統王朝でも継承されました。
成立前には、多くの史家による晋の歴史書が存在し、その中で代表的な18種類のものは「十八家晋史」と呼ばれていました。『晋書』編纂に当たっては、これらの文献や五胡十六国の歴史を記述した崔鴻の『十六国春秋』などが参考にされました。
『晋書』の本紀には、晋の始祖である司馬懿から最後の恭帝司馬徳文までが記載されています。ただし、載記には東晋滅亡後の人物も取り扱われています。本書では、武帝の即位前に死去した人物の伝記は原則として立てられていません。
この『晋書』は、過去の正史とは異なり、多人数による分纂方法が採用された初めての勅撰史書で、これが新しい評価や批判の対象となりました。